2019年4月1(月)から4月7日(日)までの北朝鮮の動向 金正恩の速度を調節せよという指示とは?

2019年4月1(月)から4月7日(日)までの北朝鮮の労動党機関紙『労動新聞』、国営テレビ『朝鮮中央テレビ』などを通して分析した今週の北朝鮮の動向です。

1.制裁長期化にも持ち堪えられる?

金正恩が今年上半期の間は米朝、南北間の現在の膠着状態を保ちながら北朝鮮の「段階的合意」、「段階的履行案」が受け入れられるまで待つ方向に舵を切ったようです。

先週、金正恩は現地指導を行い、三池淵建設は北朝鮮の「労動党創建 75周年」(2020年 10月10日)まで、元山カルマ海洋観光は本来の計画よりも6カ月先延ばしにして、来年の太陽節 (2020年 4月15日)まで完工せよと「速度調節」を指示しました。

「党が決心すればわれわれはやる!」というかけ声を座右の銘のようにしている北朝鮮で一週間の間に最高尊厳である金正恩が今年、北朝鮮でもっとも重要な対象計画の完工時期を2つも先延ばしにしたことは非常に異例なことです。

金正恩が4月11日、最高人民会議をわずか数日後に控えてこのような「速度調節」を続けて指示したことは、今回の最高人民会議でハノイ会談決裂により対北制裁が長期化される現実に照らし合わせて自力更正のスローガンを前面に掲げ、問題を集中的に討議することを北朝鮮の住民に前もって知らせる意味があるとともに、米国、韓国にも制裁が長期化しても時間的に追われないという自信を見せつけようという意味がさらに大きいでしょう。

そして、最近、北朝鮮メディアで 4.27 板門店宣言、9月の平壌宣言、6.12シンガポール合意といった南北、米朝合意の履行に対する言及も消えました。

おそらく、ハノイ会談を総和する会議でハノイ会談前夜に北朝鮮が南北合意の履行を強調して開城工団や金鋼山観光の再開などに関する制裁の解除へあまりにも執着を見せたことがむしろ米国に弱点として捉えられたいう結論が出たように思われます。

そのため、今後、北朝鮮は米朝、南北交渉では制裁解除の問題において逼迫感を感じさせない姿勢を見せるためにも南北の経済協力問題に積極的な姿勢を見せないでしょう。

対北制裁が長期化される場合、北朝鮮がどのくらいまで堪えられるかが関心事ですが、今年1月、金正恩は習近平国家主席との会談で中国から今年の無償経済支援をすべて受けとっており、今年下半期までは持ち堪えられると打算しているようです。

現在焦点になっているのは、4月11日、金正恩が最高人民会議で「非核化交渉脱退」のような「爆弾宣言」をするか否かですが、金正恩が「爆弾宣言」をすれば米国や韓国よりも中国の習近平国家主席との関係にすき間が生じる可能性が大きく、どうやってもそんな勇断を下すことはできないでしょう。

ただ、今年の新年辞で言及した水準で米国が約束を守らず、北朝鮮の忍耐心について誤った判断をして制裁と圧迫へ出たなら北朝鮮としてもやむなく新しい道に進むといった格好で再び見え透いた威しをする程度だと思います。

2.韓国に期待なし

金正恩は4月11日に行われる予定の韓米首脳会談にもあまり期待を持っていないと思われます。

今回の韓米首脳会談を前に北朝鮮の「段階的合意」と「段階的履行」に基づいた「スモールディール」、 韓国の「包括的合意と段階的履行」に基づいた「グッドイナフディール」、米国の「包括的合意と一括履行」に基づいた「ビッグディール」間に接点は見えません。

なおかつ北朝鮮としては金正恩がハノイでトランプ大統領の「寧辺核施設廃棄+アルファ (寧辺以外のすべての核施設)廃棄提案」に「NCND」(核兵器の存在ついて否定も肯定もしないの意)の立場をとったため、金正恩が2018年10月7日、ポンペオ米国務長官に申し立てた「可能なことから段階的に一つずつやろう」という提案を今すぐ撤回することができなくなっています。

北朝鮮がこのような「揺之不動」(揺さぶっても微動だにしないの意)であれば、交渉の火種をいかす唯一の方法は金正恩の「段階的合意、段階的履行」を受け入れるほかありませんが、米国はトランプ大統領から実務陣に至るまで「段階的」という表現自体に強い拒絶反応を見せています。

文大統領の米国訪問出発前まで南北間で特使の訪問のような接触さえ成り立っていなかったのならば、それは、北朝鮮が韓国の「グッドイナフディール」提案に期待を持っていないということです。

北朝鮮が韓米首脳会談に期待を持っていれば、今までの「先南北対話、後韓米対話」の構図を維持し、北朝鮮が交渉の主導権を握っているという姿を見せるためにも南北対話を先行させたでしょう。

もし、今回の韓米首脳会談をきっかけに「先韓米、後南北」の構図が生まれたら、北朝鮮としても金正恩が米国の圧力を韓国を通じて受ける構図となり、南北対話にはさらに関心を見せない可能性が大きいでしょう。

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