2019年3月25(月)から3月31日(日)までの北朝鮮の動向 北朝鮮が駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件に初めて立場を明らかに!

北朝鮮が駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件に初めて立場を明らかに!

2019年3月25(月)から3月30日(日)までの北朝鮮の労動党機関紙『労動新聞』、国営テレビ『朝鮮中央テレビ』などを通して分析した今週の北朝鮮の動向です。

1.駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件に初めて言及

今週もっとも注目すべき動向は、北朝鮮が駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件について初めて公式の反応を見せたことです。

3月31日、北朝鮮外務省のスポークスマンが『朝鮮中央通信』記者の質問に答える形で2月22日に起きた駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件を「厳重なテロ行為」と規定し、「外交代表部への不法侵入と占拠、強奪行為は国家主権に対する厳重な侵害で乱暴な国際法蹂躙だ」いう立場を明らかにしました。

北朝鮮が事件発生後37日めにして反応を見せたことは公式的な立場を発表するかどうかを巡り苦悩していたことが窺えます。

北朝鮮が長い沈黙の後、反応すると決めた背景には、最近、スペイン当局が今回の襲撃事件の主導者と思われるエイドリアン・ホンへ逮捕令状を出し、米 FBIがスペイン当局の要請によりこの事案を精査しているという報道が出るなど国際世論が北朝鮮に同情する方向に流れたことと関連しています。

こうした流れを受け、北朝鮮はスペインをもう一度圧迫して、「千里馬民防衛」の後ろ盾となっている「自由朝鮮」の実体を明らかにしようとしているのです。

北朝鮮が、「私たちは事件発生地であるエスパニア (スペイン)の該当当局が事件の捜査を最後まで責任を持って遂行し、テロ分子とその背後にいる操縦者らを国際法に則って公正に処理することを望み、その結果を忍耐を持って待っている」と明らかにしたことは、このような公式的な立場を大使館の覚書きとしてスペイン外交部に公式に伝達したことを意味しています。

北朝鮮は今回の事件を「厳重なテロ行為」とし、大使館を襲撃した者を「テロ分子」と描写しました。

人間の解放と自由のための人類の闘いは常にごく少数の先駆者の不正義の象徴となるものを攻撃する事件(一部はテロと呼ぶが)で始まり、大衆的運動に発展しました。安重根、尹奉吉のような義士の義挙を当時は日帝や国際世論も「テロ行為」と規定しました。

しかし、今日、この義士らは民族解放の闘士として誇らしく記録されています。

今回の駐スペイン北朝鮮大使館襲撃事件への正しい歴史的評価が成立するにはしばらく時間が必要です。

正義を実現するための闘争の路程では、一部の人々は現実に順従し、一部は空論を繰り広げ、また一部は危険をかえりみずに行動に出ます。

今、私たちに重要なことは、「自由朝鮮」の闘士たちの義挙を正義実現の見地から見ることです。

(南北が)統一後、「自由朝鮮」の闘士たちの義挙への歴史的評価は今とは異なっていることでしょう。

2.韓国への批判が消えたワケ

ハノイ会談決裂後、北朝鮮メディアが韓国に注いでいた不満が消えました。

北朝鮮メディアは3月24日までは、韓国外交部の『2019年外交部業務計画』を『韓米協調』に基づいた『平和体制構築』案だとして可憐な居士と揶揄し、韓国国防省の4月の「双竜」、5月の「乙支太極」軍事演習計画を、「情勢悪化を煽る危険な行為」と猛非難しました。

しかし、今週に入ると、韓国政府の個別的な部署を指名して攻撃する記事はひっそりと消えました。おそらく4月11日に行われる予定の韓米首脳会談と関連しています。

韓米が首脳会談を持つ4月11日は北朝鮮でも最高人民会議が召集される日です。

北朝鮮としては韓米首脳会談の結果を見ずに一方的に最高人民会議で「米朝交渉から離脱する」新しい道の宣布はしないでしょうし、中国やロシアも韓米首脳会談の結果まではいったん見守ろうとするでしょう。

金正恩のロシア訪問も韓米首脳会談前には行われないと思われます。

では、現在、北朝鮮内の雰囲気はどうでしょう?

北朝鮮ではたいてい分期末ごとに中央部署で3カ月間の事業を総括し、「分期あたりの生活総和」が行われますが、3月終わりの週と4月の初週は幹部の間でなんら欠陥がなくとも厳しく軍機を引き締める期間です。

今週、行われた外務省、対南事業部署の党の宣伝部の1.4分期当たりの生活総和の核心はハノイ会談前夜に米国のホンネを事前に把握できずに最高尊厳が恥をかいたことについての「責任追及」しかなかったでしょう。

この場合、党組織指導部からの「追及の雨」を避けようとするなら、交渉動力を続けて行かなければならないのですが、今すぐ可能なのが 4月11日の韓米首脳会談前に板門店においてワンポイントで南北首脳会談でも成功させて失墜した金正恩のイメージを立て直すための努力をしている姿を見せることです。

もし、今、南北間で非公開の交渉が進行中ならば北朝鮮メディアも韓国への非難を慎むほかありません。

現時点で金正恩に一番望ましいシナリオは板門店でワンポイント首脳会談を実現させて、文大統領にハノイで見せたトランプ大統領の非核化の解法に対する不満を吐露し、韓国政府が新しく出した「グッドイナフディール」と金正恩の「段階的解法」をどの程度組み合わせることができるかを打診してみることです。

韓国政府が出した「グッドイノナフディール」は、米国の「完全な非核化要求」が現実的には難しいという認識に基づいていて、北朝鮮からすれば核・ミサイルを物理的に廃棄するような核心的な非核化段階まで行くのに相当な時間的余裕を与える提案でもあり、金正恩も耳を傾ける提案でしょう。

ワンポイント首脳会談を通じて文大統領が金正恩から何を引き出すかが重要ですが、金正恩としては寧辺のほかにトランプが提起した「追加アルファの対象」の 中から隠蔽していたウラン濃縮施設を廃棄する問題を追加で論議することもできるという妥協案を持ち出すこともできるでしょう。

今までの米朝交渉の歴史を振り返ると、米国が「核隠蔽疑惑」を提起するたびに北朝鮮は否定も肯定もしない曖昧な立場を取って来たのが、最終的には認めました。ところが、ハノイ会談では金正恩はトランプ大統領が出した「核隠蔽施設」について肯定も否定もせず、曖昧な態度を見せました。これはこれからこの問題で妥協できるという余地を残したともいえます。

北朝鮮としては現在、韓米首脳会談前にワンポイント式の南北首脳会談を成功させることがハノイで金正恩が受けた侮辱感を洗い流して、北朝鮮がまた交渉の主導権を握ることができる絶好の機会になっているのですが。

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