2019年3月11(日)から3月17日(日)までの北朝鮮の動向

2019年3月11(日)から3月17日(日)までの北朝鮮の動向

2019年3月11(日)から3月17日(日)までの北朝鮮の労動党機関紙『労動新聞』、国営テレビ『朝鮮中央テレビ』などを通して分析した今週の北朝鮮の動向です。

1再び主席制か、代議員名簿に金正恩の名前なし

まず、注目される動きは、北朝鮮が来月初めに開かれる第14期最高人民会議 1次会議を契機に金正恩の職位に関する憲法改正を準備していると思われる点です。

金正恩は第14期最高人民会議の代議員名簿に含まれませんでしたが、これは北朝鮮史上初めのことでした。

さまざまな側面が考えられますが、年の初めから北朝鮮が国家第一主義、国旗、国鳥、国風、国花など“国家“を強調したことから考え合わせると、このような「正常国家化」推進の一環として来月初めに開かれる第14期1次最高人民会議で金正恩を新しい職位に推薦し、これと関連して憲法改正を準備していることが考えられます。

実は現在は金正恩が国務委員長として北朝鮮の最高統治者ですが、憲法上、対外的には北朝鮮を代表しているのは金永南最高人民会議常任委員長です。

このため海外へ北朝鮮大使が派遣される際、常住国の国家首班に奉呈する信任状も金永南がその発給を行い、また、他国の大使が北朝鮮に派遣されて来る時も北朝鮮の国家首班は金永南と表記されています。

北朝鮮はこのような曖昧な国家機構構造を持ちながらも他国には北朝鮮の国慶節である「9.9節」に際し、金正恩宛てに国慶節の祝電を送るよう要求しています。私が駐英北朝鮮公使だった頃には英国女王から9.9節国慶節祝典の辞を金正恩宛てに送るようにと何度も英国に要求しましたが、そのたびにそういう儀礼的措置を取るのであれば北朝鮮の国家首班(Head of State)が金正恩であることを大使館の覚書きで確認してくれと言ってきました。

しかし、憲法では対外的には金永南が北朝鮮を代表するとなっているため、他国に北朝鮮の国家首班が金正恩だという公式文書を送ることはできませんでした。法を重視する欧州では金正恩ではなく、金永南宛てに儀礼的な祝典や書信を送るほかありませんでした。

英国女王も金正恩宛てに祝電を送ったことはなく、金永南常任委員長と英国女王間で国家首班クラスの祝電が交換されていました。

おそらくこのような弊害を修正するために北朝鮮は今回の第14期 1次会議で金正恩の職位である国務委員長でも、もしくは他の職位を新たに作ってでも金正恩が北朝鮮の国家首班であることを明白に憲法に反映する方向で改正しようとしているのではないかと考えます。

もし、そうなれば、現在の金永南の最高人民会議常任委員会委員長の職は廃止するでしょう。

こうなると結局 70年代の金日成の主席制を再び取り入れる格好になります。

この場合、欧州に留学した金正恩は欧州国家では大統領が国会議員職を兼職することはないとことを知っているため、北朝鮮の憲法でも国家首班が代議員職を兼職する制度をなくすことができるのです。

実は金正恩を憲法的に北朝鮮の国家首班であることを明白に銘記することは今後、多国間の合意となる終戦宣言や平和協定へ署名する金正恩の憲法的な職位を明らかにするためにも必要な過程でもあるのです。

2.交渉カードは残したか

次に注目されるのは、金正恩の核またはミサイル実験を再開するという発表が今にも出るような気配はなさそうだという点です。

17日まで北朝鮮の『労動新聞』や『朝鮮中央テレビ』など公式メディアはもちろん『わが民族どうし』や『‘平壌放送』などの対外用メディアも崔善姫の対米強硬記者会見を報道していません。

特に北朝鮮が平壌で行われた崔善姫の記者会見に北朝鮮メディアを大挙参加させておきながらその内容を報道できないようにして、むしろ外国メディアを通じて報道させたのは催副相を通して対米圧迫の攻勢を高めながらも同時に交渉カード壊さないようにという北朝鮮なりの戦術であることが窺えます。

金正恩本人も今まで北朝鮮メディアが第2回米朝首脳会談の結果について落ち着いた報道を見せているのに突然、自分が突然核およびミサイル実験を再開すると発表すれば北朝鮮の住民は心理的に混乱することを考慮しないわけにはいかないのでしょう。

3.首領の神格化は消えない

最後に、金正恩が言及した首領神秘化禁止の発言に対して北朝鮮の宣伝扇動分野がそれ以上、展開させていない点があげられます。

去る 3月 6日、金正恩は第2次全国党初級宣伝イルクン(職員)大会の参加者に送った書簡で、「首領を神秘化するな」と言いましたが、その後、北朝鮮メディアは毎日、金正恩の書簡内容を深化させる論説と記事を発表しながら、むしろ金一家への偉大性教養にさらに力を注いでいます。

結局これは北朝鮮で金一家が作った首領神格化、神秘化の文献的基礎であり党律法である 「党の唯一的領導体系確立の10大原則」が消えない限り、首領神格化や神秘化は消えることはないということを再証明しています。

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