「南北経協シーリズ4編」 金正恩の経済総集中戦略に対する診断

2018年4月21日付の北朝鮮労働新聞によると、北朝鮮はその前日の4月20日、北朝鮮労働党中央委員会第7期第3回全員会員会議を開いたという。

北朝鮮が4月27日の板門店(パンムンジョム)首脳会談を1週間後に控えて突然、このような会議を招集したこと自体が異常である。

金正恩は、上記会議で2013年3月に採択された核経済並進路線の勝利を宣言し、新しい戦略的路線を提示したという。



●会議と関連した労働新聞の報道をみると

“党並進路線の”勝利”が達成されたことによって、平和守護の強力な宝刀を備えるためにベルトを引き締めながら奮闘してきた私たち人民の闘争が光り輝く結束となり、私たちの子孫が世の中で最も尊厳で幸せな生活を送れるように確固たる担保が持てるようになった”

とおっしゃった。

朝鮮労働党委員長同志様は、核開発の前工程が科学的・順次的に進行され、運搬打撃手段の開発事業も科学的に進められて核武器の兵器化の完結が検証された条件の下で、これから我々にはいかなる核試験と中長距離、大陸間弾道ミサイルの試験発射も不要となった。これによって、北部の核試験場も自分の使命を終えた

とおっしゃった。また、

我々の力を我々が要求するレベルにまで到達させ、我が国と人民の安全を頼もしく担保するようになった基礎から人類の共通した念願と志向に符合するように核兵器のない世界建設に積極的に貢献しようとする我が党の平和愛好的立場について明らかにされた。



朝鮮労働党委員長の同志様は、経済建設と核武力建設を並進させることに対する戦略的路線が掲げた歴史的課業が輝かしく遂行された今日において我が党の前には、勝利の心身高く革命の前進速度をさらに加速させ、社会主義偉業の最後の勝利を早めるべき重大な革命課業が乗り出している

とおっしゃった。



“わが共和国が世界的な政治思想強国、軍事強国の確固たる地位に上がった現段階で全党、全国が社会主義経済の建設に総力を集中させること、これが我が党の戦略的路線であると天明された”

という。

この会議の報道資料で見たように、金正恩は、北朝鮮の核兵器を”平和守護の強力な宝剣、子孫も世界で最も尊厳で幸せな生活を享受できる確固たる担保”であると強調した。結局、これは北朝鮮の核兵器が北朝鮮においては放棄できない”矛”と”盾”という概念を明確に定立したのである。



会議で言及した経済分野の総集中路線に関する労働新聞の報道資料を一度見てみよう。


朝鮮労働党委員長同志様は、『社会主義経済建設に総力を集中させ、我が革命の前進をさらに加速させよう!という戦闘的スローガンを高く掲げ、革命的な総攻勢、経済建設大進軍を力強くやっていかなければならない』とおっしゃった。

『新しい戦略的路線を実現するための闘争の当面の目標は、国家経済発展5ヵ年戦略遂行期間にすべての工場、企業所で生産の正常化の動音が強く鳴り響かせ、前夜毎に豊かな秋を作って全国に人民たちの笑い声が高く響かせることである』と明らかにされた。

『展望的には、人民経済の主体化、現代化、情報化、科学化を高い水準で実現し、全人民に満足できるほどの裕足で文明な生活を提供することである』とされた。

朝鮮労働党委員長同志様は、党と国家の全般事業で経済事業を優先視し、経済発展に国の人的、物的、技術的潜在力を総動員することに対する問題をはじめ、新しい戦略的路線を徹底的に貫くための課業と方途を明らかにされた。

『自力更生の精神と科学技術は、強力な社会主義経済建設の力ある推進力とし、すべての部門、すべての単位で自力更生、自給自足のスローガンを高く掲げて科学技術に徹底して依拠し、自強力を絶えず増大させながら生産的安養と飛躍を起こしていかなければならない』とおっしゃった。

朝鮮労働党委員長の同志様は、『経済建設に総力を集中することに対する新しい戦略的路線を徹底的に貫徹するには、党組織の役割を決定的に高めなければならない』と指摘された。

『党組織ですべての一群と党員と労働者たちに党の新しい戦略的路線の真髄と正当性を深く認識させ、その貫徹を力強く呼び起こすための組職政治事業を真空的に繰り広げて経済事業で実質的な成果が成し遂げられるようにしなければならない』とおっしゃった。

朝鮮労働党委員長同志様は、『内閣をはじめとする経済指導機関で経済事業の主人としての位置を正しく占め、急速な経済発展を成し遂げるための作戦と指揮を緻密に組んですべての部門、すべての単位で党の経済政策を貫徹するための内閣の統一的な指揮に無条件に服従しなければならない』とおっしゃった。

朝鮮労働党委員長同志様は、『わが党の並進路線が偉大な勝利で結束されたように経済建設に総力を集中することに対する新しい戦略的路線も必ず勝利するとされ、すべて我が革命の勝利的前進を迫るために勇気的に戦っていこう』と訴えかけられた。



・新聞で報道されたように新しい経済戦略であると報道されたが、新しい政策の提示はない。
・金正恩が2018年4月に党全員会議を通じて新しい経済総集中戦略を発表して5ヵ月が経ったが、核放棄に向けた意義ある措置を取らず、核固守のために猿知恵をめぐらしている。
・そして、経済に全てを総集中させる内部構造の調整が見えていない。


北朝鮮が数カ月間、言及している経済発展優先政策の核心を覗くと、

‣内閣の統一的な指揮に無条件に服従しなければならないと内閣の中心的な役割を注文しながらも内閣首相の朴奉珠(パク·ボンジュ)や内閣副首相らが現在の指導対象を見ると、依然として北朝鮮経済の中枢である軍需産業、党経済対象には接近できずにいる。また、金正恩のの現地指導時の同行幹部を見ると、いまだに軍部経済は軍部が、党経済は党が、軍需産業は党軍需工業部が運営しているということがわかる。


‣最近、科学技術重視と自力更生、自強力第一主義を強調しながらも、その目的が対北制裁をつぶすことであるということを強調していることからすると、対北制裁の緩和のために核を放棄することはないという側面をさらに強調している。


現在の北朝鮮の経済総集中戦略は?

‣果敢な核放棄はなく部分的な核廃棄で経済制裁から逃れようとする政策であるといえ、


‣ 追加的な経済改革措置はなく、従前の社会主義中央計画経済の枠内で観光業や開城工業団地のような”断絶型経済特区”を少し拡大する方式で少しの外貨でも北朝鮮の基幹工業に輸血して難局を解消しようとする政策であるといえる。


最近、金正恩は、元山(ウォンサン)の葛馬(カルマ)半島に観光建物170棟を2019年10月10日までに完成させるように指示し、元山市を観光特区に発展させて展望的に南北の観光客100万人を維持する戦略を展開している。


今回、文在寅(ムン·ジェイン)大統領の白頭山訪問の前夜から白頭山三池淵(ペクトゥサン·サムジヨン)地区を観光地大にする計画を立て、今回の大統領の白頭山探勝を通じて韓国内で白頭山観光に対する興味を大幅に増やす成果も上げた。


‣一方で、金正恩は、北朝鮮体制に脅威要因になりうる南北経済協力よりも自力更生に重点を置く政策を展開している。南北首脳会談後も北朝鮮のマスコミは、”他人に依存するのは国を滅ぼす危険な毒素、民族を卑屈で無気力にさせる道、今日の経済建設大進軍は、自力更生大進軍であり、自力更生だけが生きる道である”という論調をさらに高めて南北経済協力に対する北朝鮮内部の期待を抑えようとしている。


‣第3回南北首脳会談があってから1ヵ月経ったにもかかわらず、北朝鮮のマスコミは、南北協力の政治的側面だけを強調し、経済的協力問題には一切言及していない。 建設鉄道、道路連結のための南北会談も新聞には1、2行ほど報道されている状況である。


これは、北朝鮮が南北首脳会談を通じて南北関係が進展されている状況で南北経済協力にどう対応すべきかに対する党内部の戦略がいまだに立てられていないということを示している。


金正日(キム·ジョンイル)政権の時は、6·15共同宣言があった後、党籍で開城(ケソン)工団を通じて重化学工業技術を韓国から受け入れ、北朝鮮の重化学工業を回生させるという戦略が立てられた。

その後、金正日は金大中(キム·デジュン)大統領が6·15首脳会談で開城工業団地を通じて韓国の重化学工業技術を移転してあげる、と約束しておいて実地消費品生産メーカーだけを開城工業地区に引き込んだと不満を示した。


‣結論

これまでの事態の発展は、金正恩の経済集中戦略が結局、経済総集中という煙幕で核兵器を包み隠そうという核保有戦略ではないかと疑わざるをえない。

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