「チョ・ソンギルに送る手紙」 大韓民国に来ることは選択ではなく義務である

北朝鮮の外交官たちが大韓民国に来ることは選択ではなく義務だ。

私の友達のチョ·ソンギルへ!
ソンギル、君と直接連絡を取る方法がなく、君がよく閲覧していた私のブログに君に送る長文の手紙を書いた。

私たちが平壌で別れてからなんと6年という歳月が流れたね。

君の家族がイタリアで行方をくらました、という報道が出た日から私の家族は、朝起きるとインターネットで君の家族の消息から調べてみるんだ。

子どもたちと家内は、あなたの消息が出るたびに2008年1月に私の家族がローマに行った時、君が私たちの子供をローマ市内とバチカンのサンピエトロ聖堂に連れて行って一つずつ説明してくれたことを思い出す。

子供たちも”ソンギルおじさんの家族がソウルに来ればいい”と言っているんだ。

だが、今朝の報道を見ると君がアメリカ亡命を打診しているとは、これはどういうことなのかね。その報道が事実でないことを祈ってる。

私も君も北朝鮮では子どもの時から愛国主義教養だけを受けて育った。
今になって振り返ってみると、私たちが学んだ愛国主義には我が民族の未来や繁栄はなく、金氏一家のための総爆弾精神しかなかった。

私は、50代になってやっと私が望んでいた真の愛国主義は、まさに大韓民国を愛する心であり、私の祖国も大韓民国であることが分かった。

私たちの祖国が”朝鮮民主主義人民共和国”ではなく大韓民国だとすると、今は君もすぐには心に響かないだろう。


だが、北朝鮮では一生、個人の運命より民族の運命、個人の幸せより民族の繁栄を先に考えなければならないという教育を受けてきた君自分や私が本当に考えるべき民族の運命、民族の繁栄は、どちらにあるかを真剣に考えてみるべきだ。

私は、長い間、海外公館で勤めながらインターネットを通じて韓国について多くのことが分かっていたと思っていた。だが、実際に韓国に来てみたら思っていたよりずっと民主化されて経済的にも発展していたんだ。

私が韓国に来たから私を正当化しようとして言うのではなく、約70年前にしても立ち遅れていた、植民地だった国が経済と民主主義を同時に成し遂げたという国は、韓国以外は世界のどこにもないのではないか。

もちろん、韓国は地上天国ではない。だが、韓国は、私や君が成し遂げようとしていたことが叶えられる所だ。

北朝鮮を去れば一番懐かしくなるのが人だ。だが、ソウルに来てみると、私と君が通った平壌外国語学院の同窓生たちが思ったより多かった。お正月になると皆が集まって平壌外国語学院に通っていた時のことを思い出すんだ。

韓国には約3万人の脱北者がいる。脱北者は韓国の人たちのように裕福に暮らせてはいないが、それなりにロマンチックに暮らしているんだ。昨日の夜にも数十人の脱北団体の長たちが集まってどうすれば統一を早めることができるかと激しい論争をした。

韓国は、自由民主主義体制だから”白頭守護隊”や”太永浩逮捕結社”のような極左的な組織もあるが、そんな組織は極少数で真に民族の運命と韓半島の平和統一、北朝鮮の住民たちの暮らしを改善するために使命感を持って活動する組織が数十個もあるんだ。

数百万人の韓国の若者たちが統一の夢を見て統一の隊伍に合流している。私も毎週”南北同行アカデミー”を運営しながら韓国と北朝鮮から来た大学生を集めては統一に備えるための問題について討論するんだ。

昨年12月29日には、韓国と北朝鮮の大学生たちと一緒に昆池岩スキー場に行ってスキーを滑りながら楽しい時間も過ごした。

一言でいえば、ソウルは韓半島統一の前哨基地だ。

北朝鮮の外交官として、私や君が残された余生にすべきことは、早く国を統一させて統一した領土を子どもたちに渡してあげることではなかろうか。

ソウルで私とともに意気投合し、私たちが属していた北朝鮮の既得権層を崩壊させてこの国を統一しなければならないのだ。

韓国に来れば、身の安全は心配しなくてもよい。私を保護するために毎日数人のボディーガードが密着警護をしてくれるんだ。国民の血税を私が使いすぎているのではないかとすまないぐらいだ。君も韓国に来れば政府が徹底した身辺警護を保障してくれるはずだ。

職業も君の望むどおりに解決されるはずだ。私も政府が国家安保戦略院で余生を楽に暮らせるようにしてくれたが、私自身が統一のためにもう少し自由に活動すべく戦略院をやめた。が、まだ戦略院に努めていたら生きていくのに特別な問題はなかっただろう。

子供の教育も韓国のほうが良い。脱北者の子どもたちは、大学の学費をすべて国家が負担してくれて財政的負担もない。

国が賃貸住宅も提供してくれて安全に定着するまで定着金もくれるんだ。

君の場合、子どもたちに韓国の名門大学で学士過程を修了させてから米国で修士課程に行ってもいいだろう。君も奥さんと一緒に韓国に来て大学の修士課程に一度行ってみるとよい。

今、私たち家族全員が大学に通っているんだ。子供たちは、名門大学の学士課程に通っていて私と家内も名門大学の修士課程に通っている。韓国で大学に通ってみると北朝鮮で大学に通っていたのとは状況がまるで違うんだ。


家内は、韓国に来る時にパン屋を開いて私と子供たちの面倒をみようと計画していた。だから、韓国に来てすぐに製パン塾とバリスタ塾を卒業して資格を全部取ったんだ。だが、パン屋は60代になって開くことにして、今は、昼は非政府統一団体で統一運動をし、夕方には大学の修士課程に通っている。

私は、今年の末には2年制の修士課程を卒業するんだが、今は、修士論文のせいで頭がちょっと痛い。それでも、平日には講演もし、南北の大学生を集めて統一教育も行って、週末には勉強のために大学に行っていて1週間がどのように流れて行くのか、気が気でない。

私が書いた本”3階書記室の暗号”は、6カ月間で15万冊以上が売れ、6カ月連続、政治社会図書5-6位に名を挙げている。それほど韓国では統一を望む気持ちが大きいということだ。

君も韓国に来て自叙伝を一つ書けば大当たりするはずだ。

実は、私たち家族は、皆とても忙しく時間を過ごしているため、離散家族同然に過ごしているんだ。


ソンギル!

大韓民国の憲法に”韓国の領土は韓半島と付属の島嶼からなっている”と書いてあるんだ。この言葉は、北朝鮮全体の住民たちが皆韓国の住民であるという意味だ。

アメリカに亡命を打診したとしても遅くない。今からでもイタリア当局に堂々と言え。”私は、大韓民国の憲法に従って大韓民国の公民である、私の祖国である大韓民国に行く!”と。そうすれば、君の行く道を阻止できないはずだ。

民族の一構成員であり、北朝鮮の外交官だった私や君にとって韓国に来ることは選択ではなく義務なんだ。

君が韓国に来れば、北朝鮮で苦しんでいる仲間と北朝鮮の人民たちが桎梏から逃れる日もその分早まるだろう。

君がソウルに来れば、もっと多くの仲間たちが私たちに伴ってソウルに来るはずで、そうすれば、統一は自然とされるはずだ。

ソウルで君を待っている!

今、不安な日々を送っている君に、こんなに退屈で長い手紙を送ってすまない。再会の日を待ち焦がれながら。

2019年1月5日ソウルで太永浩より

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