金正恩の新年の辞評価① これまでは違う金正恩の「新年の辞」の発表形式を診断

今年の金正恩の新年の辞の発表は、その形式において、正常な国家のリーダーのやり方を模倣しようと苦心した跡が明らかにみられる。

  1. 新年の辞の発表の場所を具体的に公開

▼場所は北朝鮮の朝鮮労動党中央委員会本館

▼金正恩が2018年3月5日、鄭義溶・国家安全保障室長と会った際、「党中央委員会本館」だと初めて明かした

▼その前までは北朝鮮幹部の中で「3階書記室」で通っていた。北朝鮮メディアでは「党中央庁舍」と曖昧に

▼3階書記室(今は党中央本館)は私が北朝鮮にいた時は誰も近づくことができない場所で、金正日の妹の金敬姫やその夫で義弟の張成沢も金正日の呼び出しや事前に入ることを許されてはじめて立ち入ることができた

▼新年の辞を発表した部屋は私も初めて見る部屋で、おそらく幹部との接見室の可能性あり

▼部屋のインテリアを見ると床から壁全体は木製にし、国旗と党旗が掲げてあることも北朝鮮の事務室文化にはなかったこと。北朝鮮メディアが金日成や金正日の執務室や接見室を何回か公開したことがあるが、一度も国旗や党旗を掲げたことはなかった

▼金正恩が旗を2つ掲げたのはトランプ大統領と文在寅大統領の執務室を模倣したものと判断される

▼壁に暖炉(マントルピース)のようなものを木で作り、写真を飾っていることもヨーロッパ式で、北朝鮮には執務室でも事務室でも飾り用の暖炉はない

▼書棚のいちばん上が金正恩の手が届かないほど高いのもやはりヨーロッパ式。

北朝鮮の執務室の書棚の高さは実用性のある高さを設定、今回見せた書棚は実際に使っているものというより見せるための飾り書棚

 ▼部屋にスタンド灯があるが、北朝鮮幹部の事務室にスタンド灯があることは一般的ではなく、ただ一部はスタンド灯を使用

▼個人用ソファと客用ソファがあることから、ここが接見室であることが分かる

▼照明が暗くて窓があるのだろうかという疑問がわくが、新年の辞を夜 0時に録画するとまるで窓がない部屋のように見えるのだろう。窓がある部屋だと判断される

2. 発表する形式も他国のトップに多く似せようと試む

▼新年の辞発表の前に庁舍が現れ、金正恩が執務室から発表する場所まで数人と一緒に歩いて出てくる場面があるが、これも一般の先進国の首脳がメディアブリーフィングをする際、補佐陣と共に歩いて出てくるシーンをそのまままねている

▼これまでの新年の辞の発表の際は途中で拍手音が多く入っていたが、実際は聴衆もおらず座って行う新年の辞という点を金正恩が事前に考慮し、拍手音をすべて無くせと指示したと思われる

▼聴衆のいない現実を反映していると判断

▼北朝鮮はで最高指導者でも幹部でも演説の際は大きなマイクをたくさん使うが、トランプ米大統領を模倣してマイクも米国式に新しく小型で長さも長いものに交替

▼立って行うやり方から座って行うものに変わった点もトランプ米大統領のメディアブリーフィングを参照している

▼新年の辞の原稿を見ると、字が大きく、1ページに3~4つの文章が書かれていたが、金正恩の視線を見ると前に大きなモニターを設置して、そのモニター見ながら読み上げたと判断できる

  • 模倣が及ばなかった点

▼金正恩の権威を引き立てようと照明を少し暗くしたが、実際は午前 9時に放送するので、他国の首脳の新年の辞の発表と比べると金正恩の新年の辞の照明はとても暗く、先進国の首脳の姿とは少し乖離していた

▼座って腰掛けたスタイルで、足を広げたまま座り新年の辞を読んだが、むしろ前に小さなテーブルのようなものをおいて広げた足を隠せばよかったのではないか

▼金正恩のどっしりと座った姿勢は具体的に計算しなかったようだ。金正恩がトランプ米大統領のようにしろと指示したが、実務クラスは金正恩の体形を具体的に計算せずに教祖のようなセッティングしたのであのような格好となったのだろう

▼おそらく2020年には前に小さなテーブルをおくなど、開いた足が見えないような新しい姿を演出するだろう

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