2018年 12月 24日から 12月 30日までの北朝鮮の動向

北朝鮮、軍内部の不正腐敗を公式に認める

2018年12月24日(月)から同30日(日)までの、北朝鮮の労動党機関紙『労動新聞』、 対南メディアのウェブサイト『わが民族同士』(ウリミンジョクキリ)、 対外用の宣伝媒体『朝鮮中央通信』など、北朝鮮の主要メディアを通して見た今週の北朝鮮の動向です。

今週の北朝鮮は、国内的には、12月24日には「金正日の最高司令官推戴27周年」、30日には「金正恩の最高司令官推戴 7周年」が重要な政治日程としてあり、対外的には、「国連総会反北朝鮮人権決議」、「金正恩の韓国訪問」、「第2回米朝首脳会談」、「対北制裁の緩和」などについてどう対応していくか頭を悩ませながら、金正恩の新年の辞の準備に沒頭した週だったと思います。

また、12月 28日には、金正恩は第4次全国農業部門熱誠者懐疑の参加者らと会い、記念写真を撮るなどその健在ぶりをアピールしました。

今週の注目される動向は以下のとおりです。

  1. 北朝鮮がこの7年間の金正恩の軍領導業績の中のもっとも大きな業績として「核兵器の完成」だと自画自賛

 北朝鮮は12月29日、平壌で行われた金正恩の最高司令官推戴7周年の中央報告大会で北朝鮮軍総政治局長である金秀吉の演説を通して金正恩が「平和の守護である強力な宝刀を準備するという歴史的な大業を最短期間内に最上の水準で実現した」としました。

北朝鮮は、「核兵器」という表現は使いませんでしたが、金秀吉が使った「平和の守護である強力な宝刀」という表現は、2018年4月20日の党全員会議で金正恩が核兵器を「平和の守護である強力な宝刀」と定義し、登場したものです。

そして、北朝鮮は金秀吉の演説で軍部の幹部が使う演説の常套句「仇、敵」という表現を使わずに「反勢対決」という曖昧な表現を使いました。

これは 2019年に開かれるだろう米国や韓国との外交交渉を念頭に置いたものと見られます。

  • 北朝鮮がこの7年間の金正恩の軍領導業績の中の一つとして軍部の「特殊性と権勢、官僚主義、不正腐敗のわずかな要素もつぶした」と評価し、現在の北朝鮮軍部内の不正腐敗の深刻さを公に

金秀吉は演説でこの7年間、金正恩の領導で軍において「軍事政治活動で出るすべての問題を党中央にご報告申し上げて党の命令、指示に絶対服従する刃のような鋭い綱紀が確立され、特殊性と権勢、官僚主義、不正腐敗のわずかな要素をもつぶすための闘争で転換が起きた」と評価しました。

北朝鮮が軍隊における「特殊性」や「権勢」、「官僚主義」そして「不正腐敗」があったことを公式に認めたのは初めてです。

今まで北朝鮮での軍隊は北朝鮮社会の先に立ち導いていく革命軍隊であり、道徳や気風の面で社会全体が従い、学ぶべき“見本“でした。

今回、金秀吉の演説で注目される箇所は「この7年間の金正恩の軍領導で指標となる会議を2016年2月に行った北朝鮮労動党中央委員会、北朝鮮軍党委員会連合会議拡大会議だった」と評価した部分です。

2016年2月に行われたこの拡大会議で党中央委員会の多くの副部長クラスの幹部と当時総参謀長だった李永吉がその席で両手を縛られて連れ出されました。

その後、北朝鮮内部でだけでなく韓国メディアでも李永吉の処刑説が流れましたが、李永吉は数カ月間の調査の末、無罪と判明し、再び、副総参謀長として復帰して処刑説は消えました。

今回、金正恩の最高司令官推戴 7周年の行事での演説でこの拡大会議について触れられ、拡大会議に参加し、現在は総参謀長に返り咲いた李永吉は当時の状況を思い浮かべて心中穏やかではなかったことでしょう。

  • 北朝鮮は金正恩の新年の辞で米国、韓国と対話と交渉の緒を握りながら、平和の雰囲気を維持しようというメッセージを出す

北朝鮮メディアは26日、南北鉄道の着工式が行われて以降、韓国の国防費の増額問題や江原道、京畿道での浸透訓練問題についての非難を止めました。

むしろ30日には、対南メディアのウェブサイト『わが民族同士』は「民族和解と団合の薫風で熱気を帯びた一年を振り返って」という記事で耳触りの良いことばかりを羅列し、「民族的和解と統一を志向していく雰囲気をさらに高めよう」と韓国に訴えました。

一方で同媒体は、29日には「対朝鮮の《人権》圧迫騒動が流れた最悪の2018年」という記事で、2018年、米朝首脳会談など米朝関係で驚異的な事変も多かったが、米国の北朝鮮に対する人権への圧力レベルは「最悪」だったと米国を猛烈に非難しました。

しかし、この記事でペンス米副大統領や米国の高位関係者らの反北朝鮮人権活動をひとつひとつ責めながらも、2018年初めに反北朝鮮人権活動の先頭に立ったトランプ米大統領の発言や業績にはまったく言及しませんでした。

2018年末、北朝鮮メディアの表現を総合すると、北朝鮮は新年の辞で対話の緒を逃さないというシグナルとともに2018年の新年の辞にあった「核のボタン」のような過激な表現は慎むものと見られます。

代わりに米国に向けては、シンガポール合意の段階的かつ同時的移行を通した対北制裁の緩和を促し、韓国には「わが民族同士」の精神で米国の機嫌を伺わずに南北合意を続けて履行していこうと訴えるものと思われます。

2018年9月に行われた南北首脳会談の際、金正恩が言及した韓国を訪問する問題は新年の辞では言及しないでしょう。

以上、今週の北朝鮮の動向でした。

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